本年度は臍帯血由来細胞の関節軟骨細胞および靭帯細胞への分化能をin vivoで解明するために、まず多分化能を有するとされるラット骨髄間葉系細胞をラット関節軟骨損傷モデル及び膝内側側副靱帯(MCL)損傷モデルに移植した.また、研究代表者らが開発したトランスジェニックラットを用いた自家移植モデル(Cell Tissue Res 1999)を用い、移植細胞の導入遺伝子をin situ hybridization法により識別することで移植細胞を修復組織中で経時的に追跡した.また、hanging drop culture法を間葉系細胞に初めて応用し、培養骨髄間葉系細胞移植を関節軟骨損傷モデルに応用した. その結果、MCL修復過程では、骨髄間葉系細胞は移植後4週は修復に関与し、線維芽細胞様の形態を呈した.この結果はMicroscopy Research Technique(MRT)(in press)に公表予定である。また、hangingdrop culture法により培養した骨髄間葉系細胞の関節軟骨損傷への移植では、12週で硝子軟骨様組織による修復、移植細胞の生存を認め、骨髄間葉系細胞の軟骨細胞への分化がin vivoで明らかとなった.この結果は、106回日本解剖学会総会、48th orthopaedic research societyで発表した. また、すでにトランスジェニックラットとワイルドタイプラットの骨軟骨片を相対する骨軟骨欠損部に移植し移植細胞と宿主細胞ともに追跡するモデルを完成しており、第77回日本解剖学会・近畿支部学術集会、第42回日本組織細胞化学総会で発表し、MRT(in press)に公表予定である.今後、これらを応用し、骨髄間葉系細胞、臍帯血由来細胞移植後のin vivoでの分化、および修復過程への関与を解明する予定である.
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