研究概要 |
雌のICRマウス(5週令)を使用し、片側の坐骨神経切断モデルを作成した。切断モデルでは、坐骨結節高位で片側の坐骨神経を切断し1、2、4週後にa)切断側b)非切断側の腓腹筋、下腿後面皮膚をそれぞれ採取した。Sham operationモデルは片側の坐骨神経剥離のみを行い、切断モデルと同じく1、2、4週後に剥離側のみ腓腹筋、下腿後面皮膚を採取した。切断側とその反対側(両側)の腓腹筋、下腿後面皮膚をそれぞれ採取(50mg前後)し、液体窒素内で急速冷凍し-80℃で保存した。次に、この組織からtotal RNAを抽出した。この時、あらかじめ濃度がわかっているdeletion RNAを添加し、これを内部標準として用いて、各組織中の神経栄養因子の濃度を測定する。次にtotal RNAをもとに、逆転写反応を行いcDNAを作製する。このcDNAをテンプレートとしてNGFに特異的なプライマーを用い26cycleのPCRを行い、最後にHPLCにより、このPCR産物の濃度を測定した。カラムは非多孔性イオン交換カラムを使用し、溶離液に0から0.58Mの濃度勾配をかけて溶出を行う。DNAの検出は、UV検出器により、260nmでおこなった。得られたクロマトグラムよりあらかじめRNA量が判明している内部標準とpeakを比較することで組織中に含まれる実際のRNA量を測定した。 結果:(1)骨格筋ではNGF, BDNF, NT-3m RNAは、坐骨神経切断後1週、2週、4週と経{時的に増加していた。(2)皮膚では骨格筋に比較し、NGFmRNAは早期に増加のピークに達した。(3)BDNFmRNAは神経切断後、皮膚中では早期(1、2W)には有意な変化は見られなかったが、骨格筋中では経時的に有意に増加した。
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