軟骨細胞に対する機械的ストレスによるアポトシースの誘導と活性酸素の関与

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12671445
• 研究機関: 近畿大学
• 研究代表者: 福田 寛二 近畿大学, 医学部, 助教授 (50201744)
• 研究分担者: 上野 貢生 近畿大学, 医学部, 講師 (80298900) ; 野中 藤吾 近畿大学, 医学部, 講師 (70268407) ; 大谷 和裕 近畿大学, 医学部, 講師 (20258031)
• キーワード: 軟骨細胞 / 関節軟骨 / NO / 機械的ストレス / 変形性関節症

研究概要

変形性関節症の発症には関節軟骨に対する機械的ストレスが重要な働きをする.しかし,この機械的ストレスがどのような機構で軟骨破壊を惹起するかは不明であった.福田は以前より機械的ストレスに対する軟骨代謝の変化を細胞レベルで検討してきた.またスーパーオキサイド,一酸化窒素(NO)などに代表される種々の活性酸素が軟骨代謝に影響を及ぼすことも明らかにした.最近では過酸化水素(H202)が軟骨細胞のアポトーシスを誘導することを証明した.そこで本研究は,1.軟骨細胞に対する機械的ストレスが軟骨細胞のアポトーシスを誘導することを証明し,2.その過程に活性酸素が関与することを明らかにすることを目的とした.軟骨細胞に周期的牽引負荷を加えるためにFlexercell strain unitを使用してきた.今回従来のFX-2000をFX-3000にバージョンアップし,軟骨細胞に周期的牽引負荷を加え,その代謝の変化を検討する.軟骨細胞としてヒト・ウシ関節軟骨を使用する.本年度は基礎的代謝の変化を検討することを目的に,ウシ軟骨細胞に5%の周期的牽引負荷を加え,プロテオグリカン合成能とNOの産生を検討した.牽引負荷によりプロテオグリカン合成能は亢進し,NOの産生も増加した.NO産生増加はmRNAレベルでも明らかであった.NO産生を抑制してもプロテオグリカン合成能に変化はなかった.したがって,これまでのNOが軟骨変性を惹起する最も重要なガスメディエータとする概念に反する興味深い知見が得られた.来年度はこの知見を中心に検討を進めて行く予定である.

研究成果

• [文献書誌] Fukuda K,Oh M,Asada S,Hara F,Otani K,Hamanishi C: "Sodium hyaluronate inhibits interleukin-I-evoked reactive oxygen species of bovine articular chondrocytes"Osteoarthritis Cartilage. (in press). (2000)
• [文献書誌] Nishisaka F,Sohen S,Fukuda K,Hamanishi C: "Interleukin-4 reversed the Interleukin 1-inhibited proteoglycan synthesis through the inhibition of NO release"Pathophysiology. (in press). (2000)
• [文献書誌] Hara F,Fukuda K,Asada S,Matsukawa M,Hamanishi C,: "Cyclic tensile stretch inhibition of nitric oxide release from osteoblast-like cells is both G protein and actin-dependent"J Orthop Res. (in press). (2000)
• [文献書誌] Asada S,Fukuda K,Nishisaka F,Hamanisi C: "Hydrogen peroxide induces apoptosis of chondrocytes."Inflamm Res. (in press). (2000)
• [文献書誌] Asada S,Fukuda K,Oh M,Hamanishi C,Tanaka S: "Effect of hydrogen peroxide on the metabolism of artieular chondrocytes."Inflamm Res. 48. 399-403 (1999)
• [文献書誌] Hara F,Fukuda K,Ueno M,Hamanishi C,Tanaka S: "Pertussis toxin-sensitive G proteins as mediators of stretch induced decrease in nitric-oxide release of osteoblast."J Orthop Res. 17. 593-597 (1999)