研究概要 |
【目的】コラーゲン誘発性関節炎マウスを用いて、関節炎の発症前後の骨代謝動態、骨微細構造の変化、骨髄細胞の分化の異常について検討した。 【方法】9週齢、DBA1/Jマウスを用いた。Bovine type 2 collagenを含んだアジュバントをマウスの尾根部皮下に注射後21日目に追加免疫を行った。関節点数で関節炎の発症を確認した。アジュバント接種後、0,14,28,42,56日目に屠殺を行った。脛骨近位端骨幹部にて非脱灰薄切標本を作成し、骨形態計測を行った。さらに脛骨近位部二次海綿骨をμCTで解析し、脛骨の骨髄細胞の初代培養を行った。 【結果】関節炎発症率は、追加免疫後約2週間で86%の発症で、56日目に100%であった。骨形態計測では、骨量は、28日以降は対照群に比べ有意に減少していた。骨形成率は、14日目、24日目、56日目で有意に減少していた。破骨細胞数は、42、56日目で有意に増加していた。μCTによる解析では、骨量は42日目以降で有意に低下した。SMIは28日目に有意差を認めた。42日目以降では骨量、骨面、SMI、TBPfでコントロール群と有意差を認めた。組織形態計測の解析では、骨量は42日目で、骨梁幅は28日目で有意に低下していた。骨量間隙は14日目以降有意差を認めた。骨石灰化速度と骨形成率は14日目以降有意に低下した。破骨細胞面と破骨細胞数は、42日目以降で有意差に上昇していた。骨髄培養では、全骨髄細胞数はCIA群で42日目に有意に低下した。接着性細胞数は14日目より減少した。ALP(+)CFU-fコロニー数は42日目に有意に低下していた。Nodule formationは、14日目で有意に低下していた。CFU-GMコロニー数は、関節炎発症前後で、有意差を認めなかったが、破骨細胞数は、42日目では有意に増加した。 【結論】コラーゲン誘発性関節炎マウスでは、関節炎の発症前に骨形成の低下が起こっていると考えられた。この関節炎モデルでは、骨形成の低下が、関節炎発症以前に起こり、その後関節炎の発症に伴って、骨吸収が増加し骨量が減少すると考えられる。これらは骨髄細胞の分化異常に関連していると考えられた。
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