研究課題/領域番号 |
12671454
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中沢 弘一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10207756)
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研究分担者 |
内田 徳治郎 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 講師 (40262183)
横山 訓典 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80133841)
槙田 浩史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20199657)
松沢 吉保 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90311654)
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キーワード | 液体換気 / perfluorocarbon / partial liquid ventilation / ARDS |
研究概要 |
部分液体換気(partial liquid ventilation:PLV)における肺内ガス交換の機序を調べるために、MRIを用いたperflubron、ガス分布と血液ガスとの相関をウサギオレイン酸肺障害モデルで調べた。肺内におけるガス相の分布(gas-liquid interface)はfluorine-19MR信号の減弱として捉えた。肺圧容量曲線のlower inflection pointを越える圧を気道内にかけてゆくとgas-liquid interfaceは気道内圧の増加と共に増加した。しかしながらオレイン酸肺障害を起こした群ではdependent領域におけるgas-liquid interfaceの増加は認められなかった。PLVにおけるガス交換で重要なことは吸気時のガスとperflubronの接触面積を充分とることであることを証明した。 ARDSモデルでPLVと一酸化窒素(NO)吸入を併用すると、酸素化能の改善と肺動脈圧上昇の緩和がそれぞれ単独の治療を行うよりも優れていることを我々は以前証明した。そこで、この酸素化能の改善の機序を解明する目的で、microsphereを用いてPLVならびにPLV+NO吸入によって肺血流がどのように変化するかをウサギオレイン酸肺障害モデルで調べた。ガス換気からPLVに移行させると、肺血流はdependent lungからnon-dependent lungにシフトし、NO吸入はさらにその血流シフトを増強した。この研究で1.PLVのガス交換の機序として肺血流のシフトによる換気血流比の改善が関与していること、2.NO吸入はnon-dependent lungに主として作用し、PLVの換気血流比の改善を増強することの2つが明示された。 ウサギオレイン酸肺障害モデルにおいて、 I群:IPPV 単独 II群:PLV(PFC(15ml/kg)+IPPV) III群:PLV+PGI2(50ng/kg/min:気管内注入) IV群:IPPV+エアロゾールPGI2(50ng/kg/min) V群:PLV+エアロゾールPGI2 の5群に分けて検討中した。オレイン酸肺障害においては低酸素血症ならびに肺高血圧が著明となり通常の人工呼吸治療ではこれらを改善することはできない(I群)。このような病態に対しPLVやPGI2のエアロゾール吸入は酸素化能を軽度改善するが、PLVとPGI2のエアロゾール吸入を併用したり、PLVとPGI2の気管内持続注入を行うと酸素化能の改善がより顕著となり、肺動脈圧も低下した。全身血圧や心拍出量も低下することはなかった。またPLV施行時においてはエアロゾール投与よりも気管内注入の方が優れていた。これはエアロゾールでは末梢気道に到達する薬剤量が少ないためではないかと考えられた。
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