白色家兎の気道内に、機能的残気量に相当するフルオロカーボンを注入し、部分液体換気法施行時の換気の分布について検討した。 F19磁気共鳴画像法を用いた検討では、圧容量曲線上でのlower inflection pointを越える気道内圧をかけると、non-dependent lung regionからガスの分布が見られるようになり、気道内圧の上昇とともに、dependent regionへと広がっていくことが示された。特に、肺傷害モデル家兎では、dependent regionにおいて、気道内圧を上昇させてもガスとフルオロカーボンが接触しない肺胞の存在が示唆された。 そこで次に、部分液体換気法施行時のフルオロカーボン中の酸素分圧と炭酸ガス分圧について検討してみた。その結果、部分液体換気法施行時には、フルオロカーボン中のガス分圧は、中枢気道とdependent regionの末梢気道の間で差が存在しうることが示された。このことは、上記のごとく、dependent regionの末梢気道で、ガスとフルオロカーボンの接触がないことにより起こるものと考えられる。また、PEEPを施すことにより、同じ吸気ガス組成であっても、フルオロカーボン中のガス分圧はより吸気ガス組成に近づくことも示されたため、部分液体換気法では、気相と液相の分布形態により、液相のガス分圧が大きく影響を受けることが示された。 このように、ガス換気とは異なる性質が示されたが、部分液体換気法が、傷害肺に対してどのような影響を及ぼすかを現在検討中である。
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