成熟ブタの頭を開頭しWillis動脈輪を摘出、幅0.3mm、長さ3mmの脳血管条片を作成した後、β-escinを用いて膜を可透過とし (実験1) A)血管収縮薬(PGF2α、10-5M)投与による収縮 B)溶液のCa濃度を100nMから0.03mMの間で変化させた場合のCa依存性張力を測定した。さらに、上記に静脈麻酔薬ケタミン、サイアミラール(各0.1、0.3mM)を投与し、その影響を検索した。 血管収縮薬(PGF2α、10-5M)投与により、pCa6.7あるいはpCa6.5において(pCa=-log([Ca2+])、収縮が得られたが、これは、静脈麻酔薬ケタミン、サイアミラール(各0.1、0.3mM)を投与により影響を受けなかった。 (実験2) さらに、脳血管収縮のCa感受性亢進における低分子量GTP結合タンパクRhoA、Rho-kinaseの役割を検索するために 1)上記(実験1)においてRhoAの阻害薬である酵素C3を投与し、細胞内のCa濃度を一定に保った状態で、どのように収縮が変化するかをみた。 C3(5μg/ml)投与により、PGF2αによる収縮は、有意に減弱した。また、細胞内のGTP結合タンパクを活性化するGTPγS投与による収縮も抑制された。C3投与は、Ca依存性張力には影響を与えなかった。 2)上記(実験1)においてRho-kinaseの阻害薬であるY-27632を投与しその効果を検索した。Y-27632(10-5M〜10-4M)投与により、GTPγS投与による収縮は、濃度依存性に抑制され、血管収縮薬(PGF2a、U-46619、エンドセリン-1)投与による収縮もY-27632(3×10-5M)投与によりほぼ完全に抑制された。Y-27632(10-5M〜10-4M)投与により、pCa6.7、pCa6.5、pCa6.3においては、Ca依存性張力は減弱した。
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