麻酔中に観察されるあくび、咳、しゃっくり、嘔吐といった呼吸関連行動の神経性調節機構を動物実験及び臨床研究において解明すべく日々検討を続けている。これまでの研究成果は以下の通りである。第20回臨床麻酔学会(佐賀、2000年)にて、セロトニン1Aアゴニストであるタンドスピロンが鼓室形成術後の悪心嘔吐を抑制することを報告した。今後は、2001年に神戸で開催される日本麻酔科学会第48回大会にて、ネコを用いたしゃっくりの動物モデルで吸入麻酔薬イソフルランが中枢性GABA-B作用によってしゃっくりを抑制することを発表する予定である。さらに、サンフランシスコで開催される第97回アメリカ胸部疾患学会で、同じく動物モデルでしゃっくりがバクロフェンによって中枢性に抑制されることを発表する予定である。この研究課題に関連した研究成果としては、既に、3編論文として掲載されている。2000年9月号のAnesthesiologyにて、全身麻酔下ラリンゴマイクロサージャリーの最中に発生したしゃっくりの声帯の内転運動が喉頭閉鎖筋によることを示した。2000年12月のCanadian Journal of Anesthesiaで、ミダゾラムによる鼻呼吸の仕事量の増加がフルマゼニルによって廃絶されることを示した。最後に、2001年1月号のCanadian Journal of Anesthesiaで、非脱分極性筋弛緩薬であるヴェクロニウムによる筋弛緩からの回復をニコランジルが促進することを示した。
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