研究概要 |
皮質脳波と聴性誘発電位の2系列の情報を入力信号に用いて,鎮静薬と鎮痛薬を独立し自動投与できる麻酔自動制御システムの開発を目的として今年度は以下の研究を行った。 1.聴性誘発電位と皮質脳波の情報統合による患者覚醒状態推定アルゴリズムの開発 聴性誘発電位の指標であるAuditory Evoked Potential Index(AEP index)と皮質脳波の指標であるBispectral Inex(BIS)の情報を統合し,麻酔中の患者の覚醒状態をより正確に検出するアルゴリズムの開発を行った。脊椎麻酔下にプロポフォールのtarget controlled infusion(TCI)にて鎮静を行った12症例を対象とした。TCIにてプロポフォールの目標血中濃度を上下して覚醒と意識の消失を3回反復させ,その際のAEP indexとBISの値を連続記録した。意識の有無を判別するPk値はAEP index単独で0.968,BIS単独では0.923であった。そこでkx AEP index+BISの数式にて両者を統合したところ,k=1.5の時Pk値は最大の0.991となりAEP indexとBISの単独のPk値よりも有意に大きくなった。2種類の脳波の指標を統合し1.5x AEP index+BISの値を用いることにより,麻酔中の意識の出現をより正確に検出する指標が得ることができた。 2.聴性誘発電位測定装置と表在脳波解析装置の統合システムの開発 昨年度開発した聴性誘発電位測定装置と表在脳波解析装置の統合システムに上記の研究より得られた覚醒検出アルゴリズムを組み込み,手術中の患者の覚醒状態をより正確に表示できるようにした。
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