研究概要 |
皮質脳波と聴性誘発電位の2系列の情報を入力信号に用いて,鎮静薬と鎮痛薬を独立して自動投与できる麻酔自動制御システムの開発を目的として今年度は以下の研究を行った。 1.聴性誘発電位と皮質脳波に対する低体温の影響 聴性誘発電位の指標であるAuditory Evoked Potential Index(AEPex)と皮質脳波の指標であるBispectral Inex(BIS)の情報を統合し,麻酔深度をより正確に定量するアルゴリズムの開発するために,直腸温22℃に至る体温低下の影響を検討した。人工心肺を用いる胸部大動脈手術症例を対象とした。体温の低下に伴って,AEPexの値は緩徐に低下し症例間のばらつきも小さくなった。これに対してBISの値は25℃以下で個体差が大きく,低体温でも高値を維持する症例もあった。またBISは10症例中9症例で体温の低下に伴って二相性の変化を示した。高度低体温時にはAEPexの値は安定していたが,BISの値は定量性に乏しくAEPexとBISを統合しても,AEPex単独より麻酔深度をより正確に定量するアルゴリズムの作成は困難であることが判明した。常温ではAEPexとBISの統合は有用であったが,高度低体温時にはAEPexのみで評価する方が有利である。 2.聴性誘発電位測定装置と表在脳波解析装置の統合システムの開発 咋年度開発した聴性誘発電位測定装置と表在脳波解析装置の統合システムの評価を行うために,全身麻酔症例でデータを収集した。
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