研究概要 |
耳静脈に静脈路を確保し、日本白色家兎にペントバルビタール全身麻酔下で腰部硬膜外カテーテル、頸部くも膜下カテーテルを、気管切開後に挿入した。さらに、頸動脈に採血と血圧測定のための動脈カテーテルを挿入した。麻酔をセボフルランと空気で維持し、硬膜外カテーテルからケタミン(2mg/kg)とs-ケタミン(2m/kg)を投与した後、経時的に採血と脳脊髄液(CSF)採取を行った。また、別の系の家兎を用いて、静脈路から同量の両薬剤を投与し、両薬剤の静脈内投与時の脳脊髄液移行を調べた。硬膜外ヵテーテルのみを挿入し麻酔覚醒させた家兎に両薬剤を投与し、ホットプレートによる熱刺激を加えた時の反応をみた。マグネシウムを硬膜外腔に投与し同様の実験を試みたが、鎮痛効果を生じる濃度でのマグネシウム投与では、循環抑制が著明に出現したためにその実験を中止した。採取された血液と脳脊髄液中の濃度を、高速液体クロマトグラフィーで測定した。その測定条件は、以下のようである。移動相:Phosphate buffer : Methanol : Acetonitrile=7:2:1,移動相流速:1200ml/min,測定温度:45℃,測定波長:215nm,使用カラム:フェニルカラム。硬膜外投与における血漿中とCSF中のケタミンの平均Tmax(min)、Cmax(mg/ml)、AUC(mg・ml/min)は、それぞれ7.0分と8.3分、1.81mg/mlと0.53mg/ml、129mg・ml/mlnと58mg・ml/mmであった。また、s-ケタミンでは、それぞれ10.0分と8.7分、2.01mg/mlと0.54mg/ml、272mg・ml/minと56mg・ml/minであった。静脈投与におけるCSF移行は、現在測定中である。
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