研究概要 |
今年度は、当初の実験計画を変更し、研究をを行った。頭部外傷や脳梗塞などの脳損傷時において注目されている脳内ミクログリアのLPSに対する反応性の温度変化の効果を、機能的及び形態的変化において検討した。結果:1、37℃培養:LPS刺激によりNO2の蓄積量は、数時間の潜時の後、48時間までほぼ直線的に増加した。一方、IL-6は、6時間後より増加し12時間後にピークを認め、以降はさらなる増加は認められなかった。TNF-αは、刺激後3時間より急激に増加し、6時間後にピークを認めた。低温培養(30,33℃の影響:NO産生は温度依存性に抑制され、その抑制効果は48時間まで持続した。一方、33℃でのIL-6産生は、LPS刺激開始後6時間より48時間まで抑制された。TNF-α産生は、3時間後では有意に抑制されたが、12時間以降では抑制されなかった。また、低温培養によるサイトカイン(IL-6,TNF-α)の抑制効果は、30,33℃の間では有意差を認めなかった。ミクログリアの形態変化:37℃培養ではLPS暴露後6時間には、短長径差のあまりないアメーバ型より双極型に変化し、12時間後には再びアメーバ型へ復帰していた。それに対し低温培養では、アメーバ型への復帰が24時間後まで遅延した。そのような成果の一部は、Maekawa S, Aibiki M, et al."Differential Effects of Lowering Temperature on Mediator Release from LPS-stimulated Neonatal Rat Microglia" Crit Care Med,30:2700-2704,2002. にて発表した。
|