研究概要 |
新しく開発された局所麻酔薬であるレボブピバカインおよびロピバカインの神経毒性を,既存の局所麻酔薬と比較検討し,それらの安全性を検証すること,さらに,レボブピバカインとR(+)ブピバカイン及びS(-)ロピバカインとR(+)ロピバカインの神経毒性をそれぞれ比較することにより,光学性と神経障害に関連性があるかどうかを明らかにすることを目的とした。 平成12年度は,レボブピバカインの神経毒性を機能的・組織学的障害の面から調べた。 セボフルラン麻酔下に体重200〜250gの雄性S-Dラットのくも膜下腔に,1%または2%のレボブピバカインを投与した。薬物投与4日後にtail-flick試験を行い,%maximal possibble effectで感覚機能障害の程度を評価した。さらに致死量のペントバルビタールを腹腔内投与し,パラフォルムアルデヒドで灌流固定したのち脊髄を取り出し,脊髄円錐から1cm尾側に離れた部分の馬尾神経を包埋し,1μmの厚さで組織を切り出し,光学顕微鏡を用いて組織学的検査を行った。 レボブピバカインをくも膜下腔投与後,すべてのラットで可逆的な麻痺を認めたが,4日後に機能障害を残したものはいなかった。また,いずれのラットにも浮腫,脱髄,変性などの病理組織学的異常を認めなかった。 レボブピバカインのくも膜下腔投与は,この実験モデルでは,神経毒性を示さないことが明らかになった。
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