研究概要 |
【目的】脳低温の脳保護作用を低温ストレス蛋白(HSP)とapoptosisの両面から検討し、虚血性脳損傷における脳低温療法の作用概序の解析する 【研究1】ブタ全脳虚血蘇生モデルを脳低温療法施行群と常温管理群の2群に分け、摘出脳標本で低温ストレス反応蛋白(Ubiquitin、HSC73、ORP150)の免疫組織化学染色を行い海馬領域のHSPの発現レベルを検討した。虚血後の脳低温によってUbiquitinは低温によってimmunoreactivity(IMR)の増強を認め海馬CA1の核内に発現レベルの増強を認めた。ORP150は低温によって1MRの増強を認め、細胞質に発現レベルの増強を認めた。HSC73は低温と常温群でIMRに差を認めず、虚血によって核内に発現レベルの増強を認めた.低温によるUbiquitin、OPR150の1MRの増強や発現の局在変化は細胞周期の転写レベルに影響を与えると推測され、HSPが虚血後の二次性脳損傷に対して保護的に関与していると考えられた。 【研究2】摘出脳標本で脳各部位のTUNEL法による染色、apoptosis関連蛋白(caspase-3,bcl-2,bax)の免疫組織化学染色を行い発現レベルの検討をおこなった.虚血後の脳低温によって海馬CA1でcaspase-3,bcl-2の発現増加とbaxの発現減少を認め、apoptosis関連蛋白が虚血後の脳低温の作用機序に関与していること推測された。 【結論】HSP特にUbiquitin、OPR150は脳低温療法の神経保護作用に関与し、apoptosis関連蛋白の関与も示唆された。
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