研究概要 |
提出した研究計画に従い,本年度は心筋細胞から得られたカルシウムチャネルのα_1サブユニット単独とα_1とβサブユニットを同時に発現させ,カルシウムチャネルの活性を観察している.これを行うことによりβサブユニットの補助的作用を明らかにできると考えている.さらに,それらの結果を踏まえた上で,吸入麻酔薬ならびに静脈麻酔薬を暴露してその影響を観察することにしている.これにより,麻酔薬のチャネルレベルでの作用機序をさらに解明できると考えており,それによりより安全な臨床麻酔への応用が可能と考えている. 現在同時に,カルシウムチャネル活性のシングルチャネル活性を観察しており,これにより心筋の電位依存性カルシウムチャネルの特性をより解明できると考えている. 一方,これらの研究を行うことによって得られた研究技術を,ブタの気管・気管支平滑筋ならびに妊娠ラットの子官平滑筋に応用した.これにより,吸入麻酔薬の気管・気管支平滑筋張力に対する抑制作用の違いを細胞内カルシウムイオン濃度ならびにカルシウムチャネル,さらにはカリウムチャネルやクロライドチャネルレベルで明らかにした。子宮平滑筋に対する影響は麻酔中に使用する静脈麻酔薬プロポフォールの弛緩作用機序を解明した. 本研究課題により得られた研究技術ならびに研究結果を踏まえ,今後は脳神経細胞における各種チャネル活性に及ぼす麻酔薬の作用ならびにその機序解明に取り組もうと考えている.
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