本年度の研究では、ラット出血性ショックモデルを作製し、まず組織学的検討を肺での組織障害を指標として、投与方法の検討をした。出血性ショックモデルの作製:SDラット250-400gを用いて、出血性ショックモデルを作製する。ラットをエーテル麻酔下でPE50のカテーテルを用いて、左大腿動脈に挿入する。動脈ラインよりヘパリンを100U/mlを注入する。次に、血圧を測定し、平均血圧が85mmHg以上をスタートラインとして脱血を開始する。血圧が35±5mmHgに保つように脱血と返血を動脈ラインより行う。エーテル麻酔下に1時間の出血性ショック状態を維持する。蘇生法として、以下のグループを作製した。1)コントロール群:出血性ショックなし、輸液なし。2)Sham群:カテーテル挿入のみで出血性ショックなし。3)HS+SB投与群:HS(4ml/Kgの7.5%NaCl)+SB(Shed Blood)投与群。4)2LR+SB投与群:2倍の脱血血液Volumeのラクテックリンゲル液とShed blood群5)3HS:10ml/Kgの7.5%NaCl投与群6)3LR:3倍の脱血血液Volumeのラクテックリンゲル液投与群 組織学的検索:蘇生完了後48時間後の肺の障害の程度の検討:肺の組織をHE染色し、局所の肺胞の肥厚、肺浮腫、肺胞内出血、好中球の肺胞内の浸潤、好中球の肺胞膜への浸潤、硝氏化変性などを0-3のスコアー化し、肺障害の程度の検討する。 結果:各スコアーの合計点で検討した。肺での組織障害の程度はHS+SB群が2LR+SB群、3HS群、3LR群に比較して有意に低く、HSの肺障害防御効果は輸血を同時の行った時に最も良いという結果であった。小腸のアポトーシス発現を検討したところ、HS+SB群が他群に比較して有意に抑制されたことから、肺障害との関連性が示唆された。
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