研究概要 |
ロピバカイン中毒の比較対照としてブピバカイン中毒においてホスホジエステラーゼ阻害薬の効果に関する実験を行った.成犬24匹を対象にケタミンとベクロニウムで麻酔導入し,セボフルランで麻酔を維持した状態で,ブピバカインを静脈内に1mg/kg/hrで持続注入し循環抑制状態とした.アムリノン2mg/kg,ミルリノン0.2mg/kg,オルプリノン0.12mg/kgを静脈内投与し,平均血圧,心拍数,左室拡張終期圧,左室心筋収縮力,心係数,体血管抵抗係数,左室拡張期圧時定数,左室分時仕事係数を測定した.ブピバカイン注入前および循環抑制時の循環パラメータは3群間に差はなかった.試験薬注入後,アムリノン,ミルリノン,オルプリノンは平均血圧を上昇させた(p<0.05).注入2分後の平均血圧はアムリノン群よりミルリノン群が高かった.ミルリノンは心拍数を有意に増加させたが(p<0.05),オルプリノンは心拍数を増加させなかった.試験薬注入後の心拍数はオルプリノン群に比べてミルリノン群が有意に多かった(p<0.05).アムリノン,ミルリノン,オルプリノンは左室収縮力を有意に増加した.試験薬注入後1〜5分の左室収縮力はアムリノン群およびオルプリノン群よりミルリノン群が有意に大きかった.アムリノン,ミルリノン,オルプリノンは心係数を増加させ,体血管抵抗を減少させたが(p<0.05),それらの変動に3群間の差はなかった.アムリノン,ミルリノン,オルプリノンは左室拡張期圧時定数を短縮し(p<0.05),左室分時仕事係数を増加させ(p<0.05),左室拡張終期圧を減少させた(p<0.05)).ブピバカインによる循環抑制時に心電図に異常を認めたのは32例中9例であった.試験薬投与後の心電図異常の出現率には3群間の差はなかった.
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