研究課題/領域番号 |
12671503
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
松本 晶平 東京医科大学, 医学部, 講師 (30256250)
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研究分担者 |
一色 淳 東京医科大学, 医学部, 教授 (60074796)
室園 美智博 東京医科大学, 医学部, 助手 (70276947)
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キーワード | mdrlaノックアウトマウス / サイクロスポリンA / サイトクロームC / 脳虚血 / Mitochondrial Permeability Transition Pore |
研究概要 |
本研究において、我々はBBBを構成するP-glycoproteinを欠除したmdrlaノックアウト(KO)マウスを用いて、フィラメント挿入による局所脳虚血モデルを作成し、サイクロスポリンA(CsA)の効果を検証した。最初に同ノックアウトマウスのワイルドタイプ(FVBマウス)について、局所脳虚血モデルを作成し、ほぼ均一の梗塞を作成できることを確認後、CsA10mg/kgの投与を行い、梗塞が有意に減少することが確認された。これは、マウスの局所脳虚血にCsAが有効であることを示した世界で最初の研究である。また、mdalaKOマウスにおいては、2mg/kgのCsA投与を行い、有効性を確認し、最終的に1mg/kgの投与でも有意に梗塞が縮小した。これにより、CsAはひとたびBBBを通過して脳実質に到達すれば、強力な抗虚血効果を持つことが確認された。しかし、KOマウスに10mg/kgのCsAを投与すると、梗塞の縮小は認められず、多量のCsAが逆に梗塞ダメージを増悪させる可能性が示唆された。CsAが脳組織中でどのような振る舞いを見せるのかは、その脳への移行の悪さから現在まで明らかではなかったが、我々のKOマウスの導入により、より確実な研究が可能になった。さらに我々はこのモデルの脳をホモジネートし、細胞質を分離し、サイトクロームCの抗体を用いてウェスタンブロットを行った。1mg/kgのCsAの投与により、サイトクロームCの細胞質への遊離が減少することが示された。このことから、CsAはMitochondrial Permeability Transition Poreの開大を抑えて、サイトクロームCの細胞質への遊離を抑制し、神経細胞死を防いでいることが示唆された。
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