研究概要 |
「目的」本研究は脳内GABA_A受容体サブユニットの麻酔効果に対する役割を明らかとするため各種全身麻酔薬の麻酔効果発現時における脳内各部位におけるGABA_A受容体α4サブユニットm-RNA発現の相違を即時型quantified RT-PCR法で比較定量検索することを目的とした。「方法」1)実験動物は雄性C57/BL6(体重20-25g)マウスを用いた.2)薬物は吸入麻酔薬としてGOI静脈麻酔薬として,ミダゾラム,プロポフォール,ペントバルビタールを使用した。3)麻酔効果の判定は30°傾斜した観察箱の中で正向反射が30秒以上消失した時点を麻酔効果発現とした。4)既報に従ってC57/BL6の脳内GABA_A受容体α4サブユニットのプライマーを作成し、RT-PCR法を基盤とした定量法にて各脳部位のαサブユニットm-RNA発現を検索した。「結果」脳内GABA_A受容体α4サブユニットm-RNAはGOI麻酔導入期において、視床、線条体、皮質前頭葉、後頭葉に多く発現し、小脳、延髄、視床下部では低い発現であった。静脈麻酔薬誘発の麻酔導入期には、これらの発現の脳部位における比率はGOIと比較してほぼ等しかったが、プロポフォール投与群では線条体および海馬で明らかに発現の増加が認められた。さらに,麻酔導入量の50%を投与したときは,いずれの静脈麻酔薬も麻酔導入時よりも脳内GABA_A受容体α4サブユニットm-RNA発現は有意に増加し,殊に,ミダゾラムでは海馬,視床でより有意な増量が観察された.「考察」本研究成績は、脳内GABA_A受容体の中でも線条体,海馬,視床におけるα4サブユニットが麻酔効果発現に重要な役割を果たしていることを示唆するものである。
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