研究課題/領域番号 |
12671516
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
郡山 一明 産業医科大学, 医学部, 講師 (80258623)
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研究分担者 |
南立 宏一郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (50299632)
瓜生 佳代 産業医科大学, 医学部, 助手 (20309975)
南 浩一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
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キーワード | 塩酸トラマドール / ノルアドレナリン / ノルアドレナリントランスポーター / サブスタンス-P受容体 / 培養ウシ副腎髄質細胞 / カテコールアミン分泌 |
研究概要 |
塩酸トラマドール(以下トラマドール)は非麻薬性鎮痛剤で、ノルアドレナリンやセロトニンのシナプトゾームへの取り込み抑制が考えられているユニークな鎮痛薬である。が、しかしその詳細な薬理機序の検討は未だになされていない。また、鎮痛作用を目的として広く使用されている抗鬱薬も、やはりノルアドレナリンやセロトニン、ノルアドレナリントランスポーター、カテコールアミンの分泌を抑制することがその疼痛抑制機序として考えられているが、トラマドールに関するノルアドレナリントランスポーターやカテコールアミンの分泌に関する報告はない。また最近、G蛋白結合受容体であるサブスタンス-P受容体が疼痛発生に関与しているという報告がなされ、トラマドールがサブスタンス-P受容体に対してもどのように作用するか興味がもたれるところであるが、トラマドールのサブスタンス-P受容体に対する作用は詳しく解析されていない。 今回の研究においてはトラマドールの鎮痛効果及びその副作用の機序を詳しく探る目的で、培養ウシ副腎髄質細胞及びアフリカツメガエル卵母細胞系を用いて、(1)トラマドールのカテコールアミン分泌に対する作用を調べるために、培養ウシ副腎髄質細胞をカルバコール、ベラトリジン、高濃度K^+溶液で刺激して、カテコールアミン分泌にどのような作用をもつかを検討し、トラマドールは臨床濃度においてカルバコール刺激によるカテコールアミン分泌を抑制するという結果を得た。さらに、(2)トラマドールのノルアドレナリントランスポーターに対する作用を解析するために、副腎髄質細胞への^3H-ノルアドレナリンの取り込みに対してトラマドールがどのように作用するかを検討し、トラマドールは臨床濃度において^3H-ノルアドレナリンの取り込みを抑制するという結果を得た。現在これらの結果を踏まえ、トラマドールの阻害形式や作用部位がデシプラミンやケタミンの阻害部位と同じなのかどうかを^3H-デシプラミンの結合実験を行い、それらに対してトラマドールがどのように阻害するかを確認中である。以上の検討をすることにより、トラマドールの鎮痛作用機序と臨床使用に伴う交感神経に対する作用を総合的に解析したいと考えている。
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