1.リンホタクチン発現プラスミドの作製および発現の確認 リンホタクチンのcDNAをRT-PCR法を用いて活性化T細胞よりクローニングし、発現プラスミド(pCAGGS)に組み込んだ。DNA配列の確認を行った後、Cos-7細胞にリポフェクション法にて遺伝子を導入、ウエスタンブロットにてリンホタクチンの発現を確認した。今後このリンホタクチン発現プラスミドを用いてIL-12遺伝子治療と併用することによる抗腫瘍免疫の増強効果について検討を行う。 2.インターロイキン12遺伝子導入による抗腫瘍免疫の誘導 腫瘍細胞(Renca cell)をマイトマイシンC、放射線照射、凍結融解、ホルマリン固定により処理し、抗原としてBalb/cマウスの皮内に接種した。その直上の皮膚へ遺伝子銃を用いてインターロイキン12の遺伝子を導入することによって、抗原によりプライムされた抗腫瘍免疫を増強し、それぞれの抗原を用いた場合の抗腫瘍効果を比較した。その結果、抗腫瘍免疫はマイトマイシンC処理もしくは放射線照射細胞を用いた場合に最も強く誘導され、ホルマリン固定細胞では誘導は弱く、凍結融解細胞を用いた場合には抗腫瘍免疫は誘導されなかった。また、マイトマイシンC処理細胞、放射線照射細胞、ホルマリン固定細胞を用いた場合にはいずれもIL-12遺伝子導入により抗腫瘍免疫の増強効果がみられた。effector細胞はCD4+T cellにサポートされたCD8+T cellが主体であると考えられ、CTLの誘導も確認された。これらの結果より今後の検討については放射線照射細胞を抗原として用いていくこととした。
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