研究課題
アンチセンス法を用いた遺伝子治療とは、特定のメッセンジャーRNA(mRNA)に対し相補的配列を持つアンチセンスオリゴヌクレオチドを用い、目的mRNAとアンチセンスオリゴヌクレオチドがRNA-オリゴヌクレオチド複合体を形成し特異的に遺伝子発現を阻害する方法である。今回われわれは新たに各種mybアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。アンチセンスオリゴヌクレオチドはB-mybとA-mybのATGを含む22bpから23bpのものを作製した。オリゴヌクレオチド分子としてはSオリゴヌクレオチド、モリフォリノオリゴヌクレオチド、核酸類縁体BNAオリゴヌクレオチドを用いて実験した。SオリゴヌクレオチドはすべてのヌクレオチドにSを加えた。モルフォリノオリゴヌクレオチドは核酸に特殊な修飾をした分子である。核酸類縁体BNAオリゴヌクレオチドはRNAと二重鎖を形成するとRNaseの攻撃を受けて分解されやすい性質を持つものである。ヒト株化細胞NEC8を96穴マイクロタイタープレートで培養した。培養液中に200nMmybアンチセンスオリゴヌクレオチドを培養開始時、培養開始後24時間、48時間、63時間にわたって加えた。また、今回は1回〜4回投与まで投与回数を変化させその効果を判定した。mybアンチセンスオリゴヌクレオチドを加えたヒト株化細胞の増殖をホルマザンを用いた吸光度測定により検定した。この結果オリゴヌクレオチドは通常のSオリゴよりもモルフォリノオリゴヌクレオチドおよび核酸類縁体BNAオリゴヌクレオチドの増殖抑制効果が強い傾向があることが示唆された。
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