myb遺伝子ファミリーA-myb、B-myb、c-mybからなる転写因子であるMybタンパク質は核内に局在し、N末端に塩基性アミノ酸の繰返しからなる3つのドメインが存在する。このドメインがDNAの認識配列に結合しプロモーターの転写活性を調節する。アンチセンス法とは、特定のメッセンジャーRNA(mRNA)に対し相補的配列を持つアンチセンスオリゴヌクレオチドを用い、目的mRNAとアンチセンスオリゴヌクレオチドがRNA-オリゴヌクレオチド複合体を形成し特異的に遺伝子発現を阻害する方法である。アンチセンスオリゴヌクレオチドはB-mybとA-mybのATGを含む22bpから23bpのSオリゴヌクレオチド、モルフォリノオリゴヌクレオチド、核酸類縁体BNAオリゴヌクレオチドを用いて実験した。核酸類縁体BNAオリゴヌクレオチドはRNAと二重鎖を形成するとRNaseの攻撃を受けて分解されやすい性質を持つものである。ヒト株化細胞NEC8を96穴マイクロタイタープレートで培養し、培養液中に200nMmybアンチセンスオリゴヌクレオチドを加えた。ヒト株化細胞の増殖をホルマザンを用いた吸光度測定により検定した。この結果オリゴヌクレオチドは通常のSオリゴよりもモルフォリノオリゴヌクレオチドが増殖抑制効果が強い傾向にあることが見いだされた。また、免疫等への影響を調べるためpreliminaryな研究を行った。そして、アンチセンスオリゴヌクレオチド以外に2本鎖のsiRNAを設計した。siRNAはターゲットの遺伝子の開始コドンであるATGから75塩基対以降のAA配列とそれに隣接する3個の19塩基の配列を選んだ。選択した配列が他の遺伝子配列と相同性がないことを確認した。
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