研究概要 |
1.可溶性変異型VEGF受容体(可溶性Flt-1)導入による腎尿路性器癌対する遺伝子治療の研究 1)腎尿路性器癌の血管新生因子産生能 各種ヒトならびにマウス腎尿路性器癌細胞株の培養上清中のVEGFとFGF濃度を測定した。また,一部の細胞ではin vivoにてsyn geneicまたはXenogen eicな組合わせで腫瘍を移植して,VEGFの腫瘍細胞の産生を免疫組織学的手法にて確認した。腫瘍細胞により,VEGFとFGF産生能は異なっていた。 2)可溶性Flt-1遺伝子導入の抗腫瘍効果 (1)LacZ遺伝子導入アデノウイルスベクタを用いてMBT2膀胱癌細胞への遺伝子導入効率を確認した。100MOlにてほぼ100%の導入効率であった。 (2)可溶性Flt-1ベクタをin vitroでMBT2膀胱癌細胞に感染させ,この細胞をC3H/Heマウスの皮下に移植した。対照群にはLacZ遺伝子を導入した腫瘍細胞を用いた。可溶性Flt-1遺伝子を導入した群に明らかな抗腫瘍効果を認めた。 2.血中血管新生因子を標的とした診断への応用 対象は、1994年1月より2000年2月までに当科で経験し,組織学的に腎細胞癌と診断された術後フォローアップが可能であった40症例の術前の保存血清を用いて血中VEGFならびにFGF濃度を測定した。血中血管新生因子濃度と最大腫瘍径,組織型ならびに進展度,術後の進行再発の有無,予後との関連を検討した(第5回アジア泌尿器科会議,第30回日本腎臓学会西部部会,岡山,第52回日本泌尿器科学会西日本総会,高知)。 3.血管新生阻害剤 IFN-a,5-FU,UFTを血管新生抑制剤という見地から進行腎癌症例に投与を行い,併用療法を行った。12週の評価でNC以上の症例で良好な生存が得られた(第19回腎癌研究会6/8,札幌)。
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