研究概要 |
1.可溶性変異型VEGF受容体(可溶性Flt-1)導入による腎尿路性器癌対する遺伝子治療の研究 (1)可溶性Fit-1遺伝子導入の抗腫瘍効果:可溶性Fit-1ベクタをin vitroでMBT2膀胱癌細胞に直接感染させ,この細胞をC3H/Heマウスの皮下に移植する系では,明らかな抗腫瘍効果を認めた。しかしMBT2膀胱癌細胞をC3H/Heマウスの皮下に移植し,アデノウイルスベクタをマウス大腿筋肉内に注入感染させ,可溶性Fit-1遺伝子を導入する系においては,明らかな抗腫瘍効果を認めなかった(第89回日本泌尿器学会総会サテライトセミナー 神戸,論文準備中)。(2)その他の血管新生因子を標的とした腎尿路性器癌対する遺伝子治療の研究:ケモカインMCP-1の競合阻害する7nd-MCP-1やsoluble Fitプラスミドをマウス大腿筋肉内にエレクトロポレーションにて注入することで,遺伝子導入を行い,抗腫瘍効果をマウスの系で検討を行っている。 2.血中血管新生因子を標的とした診断への応用(1)組織学的に腎細胞癌と診断された術後フォローアップが可能であった57症例の術前の保存血清を用いて血中VEGFならびにFGF濃度を測定した。血中血管新生因子濃度と最大腫瘍径,組織型ならびに進展度,術後の進行再発の有無,予後との関連を検討し報告した(第89回日本泌尿器学会総会一般口演,サテライトセミナー 神戸,第5回つくし腎フォーラム 福岡,論文準備中)。(2)進行性腎細胞癌に対する免疫化学療法前後の各種血中血管新生因子群を測定し,治療効果判定の指標となりうるか解析中である。 3.血管新生阻害剤IFN-a,5-FU, UFTを血管新生抑制剤という見地から進行腎癌症例に投与を行い,併用療法を行った。12週の評価でNC以上の症例で良好な生存が得られた(第89回日本泌尿器学会総会 神戸,第18回日韓泌尿器科学会議 Seoul)。また,IFN-a, Medr oxyprogester on acetate,5'-DFURの併用療法も検討を開始している(第54回日本泌尿器科学会西日本総会 熊本)。
|