1.可溶性変異型VEGF受容体導入による腎尿路性器癌に対する遺伝子治療の研究 1)ヒト及びマウスの様々な腫瘍においてVEGFの産生は亢進していた。 2)変異型VEGF受容体産生アデノウイルスを癌細胞に感染させ、マウスの皮下に移植し抗腫瘍効果を解析したところ、マウス腎細胞癌であるRencaおよびマウス膀胱癌であるMBT2のいずれにおいても抗腫瘍効果が認められ、一部のマウスでは腫瘍(Renca)の生着が認められなかった。 3)変異型VEGF受容体産生アデノウイルスを腫瘍移植部とは別の部位に感染導入させる実験では、RencaおよびMBT2のいずれにおいても腫瘍の増殖を軽度遅らせるものの腫瘍を消退させることはできなかった。 以上の結果を平成14年度の日本泌尿器科学会総会にて発表し、現在論文作成中である。 2.血管新生阻害剤 IFN-αや5-FUを血管新生抑制因子という見地から進行腎癌40例に対して併用して用いたところ、治療開始後12週目の有効(CR+PR)率は約18%で、有効および不変までを合わせると約60%であった。現在、IFN-α単独投与の場合と比較検討中で、結果は平成15年度の日本泌尿器科学会総会にて発表する予定である。 3.血中血管新生因子を標的とした診断への応用 腎癌症例の治療前VEGF濃度は健常対象群と比較して有意に高値であった。また手術(腎摘出術)前後でVEGF濃度は有意に低下したが、FGF濃度は有意な変化を認めなかった。淡明細胞癌症例に限っての検討では、静脈浸潤(+)の症例の方が(-)に比して有意にVEGF濃度が高値であった。以上の結果を平成14年度の日本泌尿器科学会総会にて発表し、現在論文作成中である。
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