研究概要 |
近年開発された焦点式高密度超音波治療(High Intensity Focused Ultrasound : HIFU)は、超音波を集中照射し壊死させる治療法で、介在組織は隣接組織での熱損傷が無く低侵襲的であると報告されている。またHIFU治療は腎癌への応用の可能性が示唆されているが、腎癌への検討は無い。前年度の家兎腎VX2 carcinomaに対するHIFU治療の方法・短期的効果及び安全性の検討より、1)超音波造影剤使用により標的精度の向上と治療中の照射域のモニターが可能2)出血無く術中体温や循環動態への影響も少なく安全3)照射条件によっては十分なVX2 carcinomaへの治療効果等が判明した。これらの結果より本年度は前年度同様の実験モデルを作成し、腎を露出し超音波造影剤による標的・モニター下でのHIFU治療後、2週・4週後に採血、採尿し残腎機能及び生化学的検査(Na, K, Creatinine,白血球数,赤血球数,Hg, GOT, GPT, LDH)にて安全性の検討を行った。治療後2週・4週後の残腎機能及び生化学的検査に有意差を認めず、安全と考えられた。死亡時と術後8週に屠殺後、肺、肝、脳、腎を摘出し転移の有無を検討し、各群の生存率より長期的効果を検討中であるが、治療後2週・4週までは各群間に死亡無く、現在8週とさらに長期の観察を施行中である。我々の研究より家兎腎へ移植したVX2 carcinomaに対するHIFU治療は安全な治療と考えられた。生存率及び転移性等の長期的効果は現在検討中である。
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