ストレプトゾシン(STZ)誘発ラットを用い、STZの投与量は前年度同様に60mg/kg体重とした。機能的腎容積によって非腎摘に相当するsham-operation群、部分切除に相当する1/6nephrectomy群、片腎摘群に相当する1/2nephrectomy群の3群に分け、STZ誘発前、STZ誘発後1週間目(初期)、2週間目(中期)のそれぞれ3期における体重、尿量、尿蛋白総量、血清クレアチニン値、インスリン値、病理組織所見(結節像)、組織内TGF-beta1ならびにその受容体であるTGF-beta type II receptor、fibronectin、IV collagenの発現量について検討を行った。体重、尿量、血清クレアチニン値、インスリン値については、sham-operation群及び1/6nephrectomy群間で、全期に渡り、有意な相異は認められなかった。これに対し、1/2nephrectomy群では、前二者に比し、体重、尿量、血清クレアチニン値で有意な上昇を認めた。これに対し、3群とも、インスリン値や病理像については明らかな違いは得られなかった。一方、TGF-beta1、TGF-beta type II receptor、fibronectin、IV collagenの発現量については、sham-operation群に対し、1/6nephrectomy群では初期ならびに中期のTGF-beta1に低下傾向がみられ、1/2nephrectomy群では、初期、中期のTGF-beta1に有意な低下、中期のTGF-beta type II receptorに有意な低下、中期のIV collagenに有意な上昇が認められた。
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