研究課題/領域番号 |
12671561
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 文夫 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20211683)
|
研究分担者 |
橋本 恭伸 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70307594)
奥田 比佐志 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80246545)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
キーワード | 腎摘除術 / 糖尿病性腎症 / ストレプトゾトシン |
研究概要 |
糖尿病患者の増加に伴い、糖尿病性腎症を有する患者に腎摘除術を行う機会も増えている。当該研究では、腎摘除術すなわち機能的腎容積減少と高血糖が腎組織に与える影響について動物モデルを用いて検討した。雄SDラットに、streptozotocin(STZ)を注射し、糖尿病を誘発させた。1週間後に高血糖を確認し、腎手術を施行した。この手術で4群-第1群(開腹のみ)、第2群(一側腎の上半腎部分切除)、第3群(一側腎の腎摘除)、第4群(一側腎の腎摘除および対側腎の上半腎部分切除)に分けた。また、正常血糖ラットを対照群とした。術後4週間の観察期間中、1週毎に体重など生理指標の測定、血液、尿、組織(屠殺)の採取を行った。血液、尿からcreatinine clearance(CCr)を算出した。組織からRNAを抽出しTGF-β1、IV型collagen、fibronectinなどの発現を定量した。 組織標本からは、間質面積の算出やAGE検出を行った。CCrは早期に低下後、第4群を除く糖尿病ラットで顕著に上昇、第4群では却って低下した。このことから、50%を越す腎容積減少では、たとえ早期の糖尿病性腎症であっても、容積減少と高血糖とが相加的に働き、残存腎に早期から機能障害をもたらす可能性のあることが示唆された。TGF-β1の発現は第4群の糖尿病ラットで顕著であり、その後も発現は高水準に維持された。この機序としては、著しい容積減少によるangiotensin IIの増加や高血糖によるAGE蓄積がTGF-β1の発現を刺激したとするモデルが考えられる。しかし、第4群の糖尿病ラットについても、この観察期間内には腎硬化はいまだ観察されず、TGF-β1の下流に属するIV型collagenやfibronectinに明らかな変化がみられず、間質面積にも増加は認められなかった。現在は、より長期に渡る観察を実施している。
|