緑茶には、抗炎症作用、抗菌作用など多くの薬効が報告されているが、最近、消化器系の癌を中心に、抗腫瘍効果が注目されている。私達はBBN誘発ラット膀胱腫瘍に対する緑茶の抗プロモーション効果について報告してきたが、今回、抗イニシエーション効果について実験を行い、病理学的側面からも検討を行った。N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)による膀胱発癌に対する緑茶(茶葉)の抗腫瘍効果を調べ、容量依存性並びに、病理組織学的な観点から検討を行った。7週齢雄性wistar ratに0.05%BBN含有水道水を5週間飲水させ、同時に0.15%、1.5%、3%、6%の茶葉を含有したCE-2固形飼料(日本クレア製)を自由に与え、40週まで飼育した。尚、実験期間中、全ての動物は東邦大学実験動物センターで管理した。第40週で全てのラットを愛護的に屠殺し、10%ホルマリンを膀胱内に注入し固定・摘出後、膀胱内を観察し、膀胱腫瘍の発生数・腫瘍径を測定し体積を求めた。さらにその摘出標本をパラフィン包埋し、切片を作製した後、H.E.染色を行い、組織学的にも検討した。 緑茶は腫瘍の増殖を容量依存性に抑制し、なおかつ癌の発生を抑制し、抗イニシエーション効果が強く示唆された。また、組織学的異型度、浸潤度を有意に低下、もしくは低下させる傾向にあった。今後、緑茶を先行投与させた実験、並びに、その先行投与の期間など、今後の検討が必要と思われた。
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