緑茶には、抗炎症作用、抗菌作用など多くの薬効が報告されているが、最近、消化器系の癌を中心に、抗腫瘍効果が注目されている。私達はBBN誘発ラット膀胱腫瘍に対する緑茶の抗プロモーション効果について報告してきたが、今回、抗イニシエーション効果について実験を行い、病理学的側面からも検討を行った。N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine(BBN)による膀胱発癌に対する緑茶(茶葉)の抗腫瘍珍果を調べ、容量依存性並びに、病理組織学的な観点から検討を行った。緑茶は腫瘍の増殖並びに癌の発生を抑制し、抗イニシエーション効果が強く示唆された。また、組織学的異型度を有意に低下させ、浸潤度を低下させる傾向が認められた。0.15%、1.5%、3.0%の群の結果により、容量依存性が強く示唆されたが、3.0%と6.0%の群において有意差は認められなかった。6.0%の群は3.0%の群と比較して、飼料摂取量が比較的少なく、緑茶の苦みや渋みなどによる摂取量の程度の差などの要因が考慮された。 そば粉、きな粉、玄米茶は、健康食品とされ、体に良いとされてきた。これら食品の効果は漠然と言われているのみで、ほとんど研究されていないのが現状である。今回、抗腫瘍効果の側面から検討を行った。尚、我々は、以前より緑茶の抗腫瘍効果について報告してきたが、緑茶との比較検討も行った。 そば粉及びきな粉は、腫瘍発生率、平均腫瘍発生数について有意差は認められなかったが、総腫瘍体積は半分以下となり、健康食品として期待される。緑茶群並びに緑茶に玄米茶を加えた群は有意差が確認され、抗癌作用が期待される。その効果は、緑茶に玄米茶を加えた群の方が大であることが示唆された。
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