研究課題/領域番号 |
12671564
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
平野 大作 日本大学, 医学部, 助手 (40228804)
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研究分担者 |
岡田 清己 日本大学, 医学部, 教授 (70059301)
石田 肇 日本大学, 医学部, 助教授 (70138452)
蜂矢 隆彦 日本大学, 医学部, 助手 (40228482)
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キーワード | 前立腺癌 / 神経内分泌細胞 / クロモグラニンA / 免疫組織化学 / 電顕 |
研究概要 |
前立腺癌組織における神経内分泌細胞の意義について、まず光顕レベルでの検討を行なった。すなわち、神経内分泌細胞に特異的に染色するクロモグラニンA(CgA)抗体を一次抗体とし、LSAB法を用いて神経内分泌細胞の同定を免疫組織化学的に行なった。前立腺全摘除術で得られた前立腺癌59例と内分泌耐性癌となり癌死し、剖検より得られた内分泌耐性前立腺癌(内分泌耐性群)18例を対象とした。さらに前立腺全摘除術より得られた59例を術前内分泌療法未施行群19例、術前内分泌療法施行群40例に分類した。免疫組織化学的評価を前立腺癌組織におけるCgA陽性細胞の割合を4段階にスコアー化し行なった。すなわち、0:CgA陽性細胞(-)、1:CgA腸性細胞<10%、2:CgA腸性細胞10〜20%、3:CgA陽性細胞>20%とした。平均CgA陽性細胞の割合は、術前内分泌療法未施行群0.5±0.8、術前内分泌療法施行群0.7±0.7、内分泌耐性群1.7±0.8で、内分泌耐性前立腺癌組織で有意にCgA陽性細胞が増加していた。これらのことから神経内分泌細胞はホルモン耐性前立腺癌において重要な役割を担っていると推測された。 次に前立腺癌組織における神経内分泌細胞の電顕的観察を行なった。前立腺癌組織における神経内分泌細胞の超微形態は他の前立腺癌細胞と異なり、細胞質に多数の小円形を呈したelectron denseな分泌顆粒がみられた。これらの分泌顆粒の一部は腺腔へ開口分泌しているところも観察された。これらの超微形態所見から、神経内分泌細胞における分泌顆粒がautocrineないしはparacrine作用により前立腺癌細胞の増殖に関与していることが予測された。今後、これらの分泌顆粒がどのような生物学的性質を有するか免疫電顕的手法を用いて検討する。
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