研究課題/領域番号 |
12671568
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
郷司 和男 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50195921)
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研究分担者 |
勝岡 洋治 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10051757)
中島 元夫 ノバルティスファーマ, 製薬研究本部, 部長
北澤 荘平 神戸大学, 医学部, 助教授 (90186239)
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キーワード | 尿路上皮癌 / ヘパラナーゼ / 浸潤 / 転移 / 血管新生 |
研究概要 |
今年度は尿路上皮癌患者より得た40例の切除組織を用いて、抗ヒトヘパラナーゼポリクロナール抗体、抗ヒトマトリックスメタロプロティナーゼ-2(MMP-2)およびMMP-9モノクロナール抗体を用いた免疫組織染色とヒトヘパラナーゼのDNAプローグを用いたin situ hybridization法にて、ヘパラナーゼ蛋白およびmRNAの発現を検討すると共にMMP-2、MMP-9の発現と比較した。その結果、浸潤癌では表在癌に比べてヘパラナーゼの発現は有意に高率で、その発現は腫瘍浸潤部先端でより強かった。これに比べて浸潤癌におけるMMP-2の発現は表在癌に比べて高いものの有意なものではなく、MMP-9の発現には差をみとめなかった。同様に癌悪性度の高いものは低いものに比べて、またリンパ節転移を有するものは有さないものに比べていずれもヘパラナーゼの発現は高かった。更に各腫瘍において抗ヒトCD31抗体を用いた免疫組織染色法により、血管内皮を染色して新生血管数を算定し、ヘパラナーゼ、MMP-2、MMP-9の発現との相関を検討した。新生血管数はヘパラナーゼの発現を認めるものは認めないものに比べて有意に多かったが、MMP-2、MMP-9の発現との間には相関を認めなかった。また、ヘパラナーゼの発現を認めるものの予後は認めないものに比べて有意に不良であり、多変量解析においてヘパラナーゼの発現は尿路上皮癌の有意な予後因子であった。以上のことより尿路上皮癌の浸潤・転移および血管新生にヘパラナーゼは重要な役割りを果たしていることが示唆された。
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