研究概要 |
1980年代半ばに、インヒビンがFSH産生/分泌抑制因子として単離された一方でアクチビンはFSH産生/分泌促進因子として発見された。その後の研究で、アクチビンの下垂体前葉ホルモンに対する働きとしては、FSH、LHの分泌に対しては促進的に働くのに対して、ACTH,PRL,GH等に対しては抑制的に働くことが報告されてきた。その中でPRLについては、成熟ラットの初代培養下垂体細胞で、アクチビン前培養後のTRH刺激によるPRL分泌が低下すること、アクチビンによりPRLの基礎分泌量と総PRL量が低下すること、アクチビンはPRL陽性細胞の増殖を抑制し、一細胞あたりのPRL分泌量を減少させ総分泌量を減少させること、また、転写因子Pit-1に対してはリン酸化や合成の抑制により抑制的に作用していること等が報告されてきた。 これまでのこれらの報告が血清添加培地を用いているのに対して、私達は、PRL/GH産生性の細胞株GH3細胞を用いて、無血清培養系でアクチビンの作用を検討した。この系で、アクチビンは単独添加により培養時間の経過と共にPRLの分泌を増加させた。また、アクチビンは30-300ng/mlの単独添加によって、用量依存性にPRLとGHの産生を促進した。また、アクチビン結合蛋白質であるフォリスタチンは、アクチビン含有培地で、アクチビンによって促進されたPRLとGHの分泌を用量依存性に抑制した。 以上より、私達はアクチビンは培養条件によっては、PRL分泌に対して促進的に作用することを明らかにした。
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