研究概要 |
子宮内膜癌は日本においても近年増加している。これまで日本などで内膜癌の発生が少なかったのは大豆などのイソフラボンの作用であるとの報告もある。しかし、これまでイソフラボンによる子宮内膜癌に対する影響を検討した報告はない。今回、内膜発癌に対するイソフラボンの影響とその分子生物学的影響も検討した。 実験1)卵巣摘出マウスにE2(5ppm)2週間経口投与し子宮摘出し、RT-PCR法と免疫組織学的により、AP-1site形成するc-fos/jun発現、内膜発癌に関連する内因性サイトカインであるIL-1α,TNF-α発現を陽性対照とした。E2に加えて子宮摘出24時間前に、genistein(G),daidzein(D)(各1mg/30gbw,sc)投与し、それらの発現を検討した。GはE2により過剰発現したc-jun,IL-1α,TNF-α発現を有意に抑制した。Dはc-fos,IL-1α発現を有意に抑制した。 実験2)N-methyl-N-nitrosurea(1mg/100gbw)投与後、E2(5ppm)29週間経口投与した群を陽性対照とし、内膜腺癌、増殖症発生頻度を比較した。対象群はE2に加えて、G or D(各1mg/30gbw,sc)を4週毎7回投与した。G or D併用投与により、内膜癌、異型内膜増殖症発生頻度を有意に減少させた。 以上より、GとDはエストロゲン過剰状態に関連した子宮内膜発癌モデルに対して抑制的に作用し、エストロゲンと関連したc-fos/junや内因性サイトカインであるIL-1α,TNF-α発現抑制と関連していることが示唆された。
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