研究課題/領域番号 |
12671590
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (30273189)
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研究分担者 |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
小林 隆夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (20107808)
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キーワード | 子宮内胎児発育遅延 / 胎盤内凝固 / 胎盤マクロファージ / MIF |
研究概要 |
胎盤循環の低下並びに高度の胎盤内凝固を伴う子宮内胎児発育遅延(IUGR)での特徴的病理組織像は絨毛間腔でのフィブリン沈着や壊死組織の形成である。壊死組織は白血球マクロファージの遊走像を示すがマクロファージが病態形成にどのようにかかわるかは不明である。そこでマクロファージを局所で不動化させ各種サイトカインを誘導することで炎症を形成させるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)cDNA(センス並びにアンチセンス)をアデノウイルスに導入し、同リコンビナントアデノウイルスをマウス子宮内胎仔発育遅延モデルに投与することでマクロファージ機能の検討を行うのが最終的目的である。そこで平成12年度ではセンス並びにアンチセンスMIFリコンビナントアデノウイルスを作成した。同リコンビナントアデノウイルスを非妊娠マウスに投与し、すでに確立しているBCG-LPS誘発マウス肝不全モデルにおいてアンチセンスMIFアデノウイルスの1)肝でのMIFタンパク質の発現抑制2)壊死組織の抑制3)肝でのマクロファージ細胞数の減少4)高い生存率を確認した。平成13年度では、マウス腹腔内へのlipoplysaccharide(LPS)投与がマクロファージを介した炎症を惹起し、プロスタグランジン系により子宮収縮を誘発することから、子宮への作用を検討する目的で誘発マウス早産モデルを用いてマクロファージ機能を検討した。1)抗MIF抗体を作成ののち、LPS投与妊娠マウスの早産率の推移を検討すると、抗MIF抗体投与マウスではコントロールと比較して分娩開始を24時間から36時間遅延させた。2)アンチセンスMIFリコンビナントアデノウイルスについてもコントロールと比較して分娩開始を遅延させたが、早産を防止することはできなかったことから、プロスタグランジン系の活性化以前のサイトカイン系が主たる作用点であることが示唆された。 以上より、子宮胎盤におけるマクロファージについても抗MIF抗体及びアンチセンスMIFアデノウイルスが作用を示しうることを確認した。
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