研究概要 |
初期胚着床の分子機構の解明のため着床周辺期の子宮内膜において特異的に発現する種々の遺伝子をdifferential display法を用いて同定し、さらにその関連遺伝子の着床周辺着子宮内膜における発現を検討しその結果を数報の論文に取りまとめ報告した。それらの遺伝子の着床期における機能を解明する手段として着床周辺期子宮内膜上皮及び間質細胞への局所的遺伝子導入を試みた。cytomegarovirus promotorの下流域にgalactosidaseをreporter geneとして持つpcDNA3をlipofectoAMINEあるいはDOTAP, F127pluronic gel混合物をLiposome担体として妊娠第0.5日目〜妊娠2.5日目のICR系雌マウスの子宮腔内・内膜内(間膜側あるいは非間膜側)に注入し子宮内膜上皮細胞・子宮内膜間質細胞への取り込みを期待した。Plasmid DNAが細胞内に導入されるとgalactosidaseが発現するので、その活性をX-galを発色器質として組織学的に検出することができる。妊娠第2.5日目に腔内投与をした際、約10%の個体に子宮腺管上皮細胞への取り込みが確認された。肝臓には取り込みは確認されなかった。内膜内へのLiposomeの投与による間質細胞への取り込みに関しては残念ながら安定した取り込みができず、投与経路の検討を試みた。妊娠初期に尾静脈から全身投与し、着床部位における血管透過性亢進からある程度選択的に取り込みが起こることを期待した。着床部位周辺へのプラスミドDNAの取り込みを認めらる個体もいたが低率であった。着床周辺期内膜への遺伝子の導入に関しては更なる検討が必要である。
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