研究概要 |
平成12年度の途中で科研を頂けることが決定し,一部当初の科研申請時の予定と異なることをここに報告させていただきます. 妊娠・産褥時における母体の代謝が非妊娠時に比し,大きく変化することは言うまでもないが,これは妊娠時の胎児発育および産褥期の授乳において合目的的な変化と言える.中でも糖代謝と脂質代謝の変化は著しい.我々は妊娠時のインスリン抵抗性と脂質の関連性について,まず妊娠時から産褥期にかけての母体ラットの脂肪量の激減に注目し,この変化に何が関与するかについて検討した. まずアポトーシスが脂肪量減少に関与するかについてDNA ladder法を用いて検討したところ,アポトーシスの関与は否定された.次にアポトーシスに関与すると報告されている脂肪組織が産生するadipocytokinesであるTNF-αおよび脂肪分化誘導因子であるPPAR-γ1およびPPAR-γ2の遺伝子発現についてラット腹腔内脂肪を用いて検討した.その結果,妊娠時の脂肪組織におけるTNF-αおよびPPAR-γのmRNAレベルに変化を認めなかった.今後,さらに妊娠期間における脂肪細胞の分解および脂肪合成に関わるhormone sensitive lipaseやlipoprotein lipaseの変化を検討することにより,脂質代謝を検討する予定である.その後,当初の予定である我々が着目している遊離脂肪酸の各種糖代謝関連酵素遺伝子発現への影響について検討する予定である.
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