研究概要 |
I.腫瘍抗原特異的T細胞の頻度解析 A.HLAテトラマーによるHER2特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)の検出 方法:1.HLAテトラマーの作製.2.HLA-A24陽性健常人末梢血由来CD8+Tリンパ球をCHP-HER2またはHER2p63で前処理した同系樹状細胞で2回感作し,キラー細胞を誘導.3.各々のキラー細胞集団に対し,HLAテトラマーを用いて,FACSにより抗原ペプチド特異的CTLの検出を試みた.結果:10万個のリンパ球を解析し,各々2.51%,1.70%のCD8+,HLAテトラマー+の抗原ペプチド特異的CTLが検出された. B.エリスポットアッセイを用いた腫瘍抗原特異的T細胞の頻度解析 方法:1.HLA-A24陽性健常人末梢血CD8+T細胞または単核球をそれぞれHER2p63またはCHP-HER2で前処理した同系樹状細胞で2回感作し,キラー細胞を誘導.2.誘導した各々のキラー細胞中のHER2p63反応CD8+T細胞の頻度を解析.結果:1.CHP-HER2前処理樹状細胞を用いて誘導したキラー細胞は,エフェクターが単核球の場合HER2p63にのみ特異的反応を示したが,エフェクターがCD8+T細胞の場合,コントロールのHER2p780に対してもかなりの非特異的反応を示した.2.HER2p63前処理樹状細胞を用いて誘導したキラー細胞は,コントロールのHER2p780に対しても,かなりの非特異的反応を示した. II.HER2p63ペプチドを用いたワクチン療法 5名のHER2陽性癌患者にHER2p63ペプチドを用いたワクチン療法を行った.(phase1 study)現在までの所,有害事象はみられていない。
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