研究課題/領域番号 |
12671596
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹村 昌彦 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (50294062)
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研究分担者 |
井阪 茂之 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
東 千尋 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20151061)
古山 将康 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00183351)
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キーワード | オキシトシン受容体 / 早産 / メチル化DNA / 陣痛 / 子宮収縮 / 絨毛羊膜炎 |
研究概要 |
絨毛膜羊膜炎が早産を誘発する原因になることが知られている。我々は、早産の発生機序を解明するために、オキシトシン受容体の転写活性機構の解析をすすめてきた。炎症によって誘導される既知の転写因子のうちオキシトシン受容体遺伝子の上流領域に結合配列を持つものの発現の検討をすすめた。さまざまな遺伝子の転写の調節にDNAのメチル化が関与していることが明らかになっており、ゲノムDNA上のCpG配列がメチル化の標的となることがわかっている。これまでのオキシトシン受容体遺伝子の解析を通じて、この遺伝子の転写調節領域の中にCpG配列が集中して存在していることを我々は明らかにしてきた。そこで、この部分でのDNAメチル化がオキシトシン受容体の発現に与える影響を検討した。その結果、通常の培養条件でオキシトシン受容体遺伝子の少量の発現を認めるHepG2およびHep3B細胞では、培養液に5-Azacytidineを添加することでDNAのメチル化を解除したところオキシトシン受容体遺伝子の発現は著明に増加した。これにたいして、オキシトシン受容体遺伝子を恒常的に発現しているHELA細胞及びWISH細胞では、転写領域内のDNAメチル化の程度は少なく、5-Azacytidineを添加しても遺伝子発現量はほとんど変化しなかった。これにより、オキシトシン受容体遺伝子の発現がDNAメチル化によって調節されていることが明らかになった。さらに、レポーター遺伝子を組み込んだプラスミドを用いた実験によって、オキシトシン受容体遺伝子の転写調節領域の中でも、我々がMT2領域と呼ぶ第176塩基より第581塩基までの部分が発現調節のなかで大きな役割を果たしていることを明らかにした。生体内においても、子宮筋でのオキシトシン受容体遺伝子の転写調節領域を検討したところ、分娩時には妊娠初期に比べてメチル化の程度が減少しており、メチル化が生体内でのオキシトシン受容体遺伝子発現調節機構を担っていることを明らかにした。
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