研究概要 |
各妊娠齢におけるラット子宮筋からplasma membraneを得て子宮筋GABA_A receptorに対するbinding asayを_3H-muscimol(GABA_A receptor agonist)を用いて行い,妊娠齢やallopregnanoloneの存在がreceptor感受性にいかなる影響を及ぼすかを検討した.その結果allopregnanolone存在下ではspecific boundは増加し、妊娠19.5日齢で最高になることがわかった.すなわちGABA_A receptorのallopregnanoloneに対する感受性は妊娠19.5日齢で最高になり,分娩発来時に最低になった.さらに各妊娠齢のラット子宮筋より抽出したtotal RNAを用い,既知の各GABA_A receptor subunit mRNAの発現に関してsemi-quantitative RT-PCRおよびRNase Protection Assayにより比較検討した.その結果,子宮筋にのみ豊富に発現するπ subunit mRNAは妊娠19.5日齢をピークに発現し,分娩発来時には急激に発現が低下することがわかった.α1subunit mRNAもπと同様に発現のピークは19.5日齢であった.これに対しα2subunit mRNAの発現は妊娠中減少して19.5日齢で最低となり,分娩発来から分娩後には増加した.現在までのところ,ラット子宮筋GABA_A receptorのsubunitは妊娠齢によりその発現構成が変化していることが証明された.このsubunit構成の違いがallopregnanoloneなどのmodulatorに対するGABA_A receptorの感受性を変化させ,子宮筋の収縮制御に関与していると考えられる.
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