研究概要 |
(目的)45,XY, der(21;22)(q10;q10)の核型の男性(保因者)の精子についてFISH法を用いて21番、22番染色体異常頻度を検討するとともに、精子形成時の成熟分裂におけるinter-chromosomal effectの有無を検討した。(方法)精液採取は本人の同意のもと用手法で採取され、その後スライドグラス上に固定し、dithiothreitolで膨化させたのち、75℃で熱変性させたDNAプローブを37℃下でハイブリダイゼーション後、核をDAPIで染色しシグナルを蛍光顕微鏡下に算定した。DNAプローブはVysis社:LSI21、WCP22q、CEP18、CEP X、CEP Yを用いた。また、対照として正常男性精子を用いた。(結果)保因男性では6574個の精子、対照男性では4382個のシグナルを分析した。21番及ぴ22番染色体のシグナルを(2個、1個)(1個、2個)(1個、0個)(0個、1個)の組み合わせでもつ不均衡型精子の割合は保因者では各々、1.12%、1.06%、0.46%、1.18%で対照の0.14%、0.02%、0.00%、0.02%に比して有意な高値を示したが理論値の16.7%に比べると明らかに低値を示した。また21番、と22番染色体シグナルを1つずつ持つ均衡型精子の割合は、96.1%であった。保因者における18番、X、Y、染色体における異常率は対照症例と比べ差を認めなかった。(結論)1.保因男性における不均衡型精子は3.82%であった。2.Robertoson型転座保因男性では、精子形成時の成熟分裂での分離は不均衡に起きているか、あるいは不均衡型精子形成時に淘汰が起きていることが考えられる。3.18番、X、Y染色体においてはinter-chromosomal effectは存在しないと考えられた。
|