研究概要 |
我々は従来の研究から、子宮内膜癌抑制遺伝子はD1S459〜225(1番染色体上1q42-43)の領域に存在することを明らかにしている。この遺伝子を同定するために、 1)子宮体癌細胞株増殖抑制活性をもつBACクローンからできるだけ純粋なDNAを出し、EcoRIで消化し数KbのDNA断片にし、この断片をbiotinにて標識し、我々が作製した正常子宮内膜cDNAライブラリーと液相にてハイブリダイズした。biotin標識されたDNA断片をFe-avidinビーズと結合させ、このBACクローンにコードされるcDNA12クローンを得た。得られたcDNAを互いの重複を排除した後、A9,A9-1neo(人一番染色体を保持したマウスA9細胞),ヒト胎盤DNAをブロットしたメンブレンとハイブリダイズさせる事により偽陽性クローンを排除したところ、4クローンが候補として残った。これらの塩基配列を決定し、PCRプライマーを設定し子宮体癌細胞株および症例DNA(インフォームドコンセントを得ている)での塩基配列を検討したところ、一つの遺伝子(W20)で頻繁に変異が見いだされた。 2)英国Sanger Centerが中心となって決定した1番染色体シークエンスドラフトよりESTライブラリーからの情報をもとにこの領域に存在するEST4種を選択した。また、この塩基配列情報をもとにHexon,F-geneなどのエクソン予想ソフトウエアーを使い3つのmRNAを想定した。これらに対してRT-PCRを行った結果、2つの遺伝子(BP-1、AI00)で変異が観察された。 3)二つの候補遺伝子の子宮体癌細胞株増殖抑制活性の検討を行っているが、W20ではこの活性が観察されなかった。引き続きBP-1、AI00の癌細胞株への導入を行う予定である。
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