研究概要 |
マウス胚盤胞における胚生検法の検討 【目的】着床前遺伝子診断において、割球生検は必須である。我々は、4細胞から8細胞期胚から1ないし2割球を生検し診断に応用してきた。近年培養環境の改善により、ヒト体外受精胚移植に胚盤胞移植が臨床応用されてきている。今回、胚盤胞からの様々な生検法を検討したので報告する。【方法】8週齢ICR雌マウスを過排卵処理し、hCG投与と同時に10週齢の同系雄マウスと交配させ、48時間後卵管還流法により4細胞期胚を採取。5%CO2 in air,37℃で72時間、胚盤胞(expanded blastocyst)になるまで培養した。biopsy法は、acid Tyrodeで透明帯を消化後割球を吸引する方法(タイロード法)と透明帯にスリット上の裂隙を作成後生検する方法(スリット法)を用いた。培養96時間後、割球をmicromanupilatorでbiopsyし、過排卵処理にて同期化させた偽妊娠マウス子宮内に移植した。以下の群に分類し、生仔数を検討した。顕微操作を行わなかった対照群A群、割球をmicromanupilatorで、内細胞塊の対極側からbiopsyしたものB群、内細胞塊から90度方向からbiopsyしたものC群、内細胞近傍からbiopsyしたものD群に分類した。を5から10個生検した。【成績】タイロード法よりスリット法が操作時間、手技の簡便性割球の変形が少ない点で優れていた。biopy後の各群の生仔獲得率は、A群:48.0%(12/25),B群:36.0%(9/25),C群:44.0%(11/25),D群:22.7%(5/22)。得られた生仔に全く異常は認めなかった。【結論】以上より、胚盤胞着床の観点から、胚盤胞生検には内細胞塊に対して90度方向からスリット法でbiopsyする方法が最適な方法である。
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