研究概要 |
【目的】IVF-ETにおいて形態良好胚移植にかかわらず妊娠しない原因不明症例がある。近年接着分子の観点から研究が進みつつあるが、子宮内膜細胞の解析が多く、卵に関する研究は進んでいない。様々な面から胚盤胞発育について検討し、また、生検した胚盤胞栄養細胞を解析した。【方法】8週齢ICR雌マウスを過排卵処理し、hCG投与と同時に10週齢の同系雄マウスと交配させ、48時間後卵管還流法により2〜4細胞期胚を採取。5%CO2 in air, 37℃で96時間、胚盤胞(expanded blastocyst)になるまで培養した。割球をmicro-manupilatorで、内細胞塊の対極側からbiopsyしたものA群、内細胞塊から90度方向からbiopsyしたものB群に、内細胞近傍からbiopsyしたものC群に分類した。biopsy法は、slit法で割球を5〜10個生検した。biopsyした栄養膜細胞についてα5β3integrin・α6β4integrin・α5β1integrinの分布量を免疫組織学的に検討した。解析した胚盤胞は追加培養し、72時間後にディッシュ底面に拡がった胚盤胞面積を測定し接着分子との相関性を観察した。【成績】α5β3integrin・α6β4integrinの発現はA群B群でみられ、C群では認められなかった。α5β1integrinはいずれの群でも発現はみられなかった。α5β3integrin・α6β4integrin発現が半分以上に発現がみられた場合、追加培養による胚底面積が発現のみられなかった群より有意に大きかった。【結論】栄養膜細胞浸潤活性の促進因子といわれるα5β3integrin・α6β4integrin、その抑制因子といわれるα5β1integrinの発現を栄養膜細胞で観察すると、その後の細胞浸潤能・増殖能を予知する重要なマーカーとなる可能性が示唆された。
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