インターフェロンは様々な生理作用を持つサイトカインである。我々はこれまでにインターフェロンが子宮内膜間質細胞の初代培養系において、細胞増殖を抑制することを確認している。本研究では、ヒト子宮内膜におけるインターフェロンの作用発現のメカニズムを探る目的で、インターフェロンによって誘導され、その作用発現に関与すると考えられる物質であるdouble-stranded RNA-dependent protein kinase(PKR)、MxA、interferon regulatory factor-1.(IRF1)、IRF-2のヒト子宮内膜における発現について検討した。その結果、これら全てのmRNAがヒト子宮内膜に存在することが明らかとなった。また、これらの物質の増殖期及び分泌期子宮内膜、妊娠初期脱落膜における発現量の変化について検討したところ、これらの変化が一様ではないことが明らかとなった。従ってこれらの物質はインターフェロン以外の因子によっても発現の制御を受けている可能性が考えられる。また、これら全ての物質はヒト子宮内膜間質細胞初代培養系において、インターフェロンの投与により、いずれも時間依存性、用量依存性にその発現量が増加した。従ってこれらの物質がインターフェロンの効果発現に関与しているものと考えられる。以上より、これらインターフェロン誘導蛋白質は、恒常的にインターフェロン以外の因子により発現制御を受け何らかの生理作用を担っており、ウイルス感染などの際にはインターフェロンにより急激に発現量を増加させ、インターフェロンの作用発現に関与しているものと考えられた。
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