研究概要 |
エストロゲンの子宮に対する作用にTGFβがいかにかかわっているかを詳細に検討するため以下の事を行った. 生後19日令の未成熟雌マウスにエストロゲンを投与し,経時的に子宮を採取し,RNAを抽出し遺伝子の発現を検討した.また免疫組織化学,Western blot analysisにより蛋白の発現を検討した. Western blot analysisではエストロゲンの投与によりTGFβの蛋白の増加が明らかとなり,免疫組織化学ではエストロゲン投与後16時間の子宮で,上皮にTGFβの明らかな蛋白の発現の増加を認めた.同様に膣においても上皮にTGFβの明らかな蛋白発現の増加を認めた. Northern blot analysisではTGFβ1,TGFβ2,TGFβ3に,それぞれ発現形式の異なる遺伝子発現を認めた.すなわちTGFβ1はエストロゲン投与後3時間をピークとする遺伝子の発現が認められ,TGFβ2では同様に3時間をピークとする発現が認められ,それがより長く持続した.TGFβ3は30分で遺伝子発現が認められ,3時間を過ぎると基本レベルより低下が持続するパダーンをとった. 以上より,TGFβはタイプのことなる1,2,3がそれぞれ異なる発現様式をとり,蛋白の発現へとつながり,これらの作用はエストロゲンによりコントロールされていることが明らかとなった.
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