1、カルパインの分解タンパクに対するペプチド抗体の作製 カルパインによって剪定分解されることが報告されているテーリンとフォドリンに対するペブチド抗体を作製した。 2、ヒト子宮内膜組織の採取及び上皮、間質細胞の分離培養 正常の月経周期を持ちホルモン療法などの治療を受けておらず、子宮筋腫等の治療のために子宮摘出術を施行された患者よりインフォームドコンセントのもとに子宮内膜を採取し、一部は組織検体として、また一部は上皮及び間質細胞に分離培養し実験に供した。 3、ヒト子宮内膜(上皮及び間質)培養細胞及び内膜組織におけるテーリンとフォドリンの動態の免疫学的検討 (1)免疫組織染色法、(2)SDS-PAGE・ウェスタンブロッティング法によりカルパイン及びテーリンとフォドリンの動態検索を試みた。 その結果以下の成績が得られた。 1、免疫染色法において、子宮内膜上皮と間質細胞で抗テーリン抗体と抗フォドリン抗体の染色性が主に細胞質の細胞膜近傍に観察され、低酸素培養下で染色性が低下した。同培養下で抗活性型カルパイン抗体の染色性が増加した。また内膜組織の上皮、間質細胞おいても細胞質の細胞膜近傍に抗テーリン抗体と抗フォドリン抗体の染色性が観察された。 2、Western Blotting法でもカルパインの活性化に伴い抗テーリン抗体と抗フォドリン抗体の染色性が減少した。 以上より、子宮内膜上皮と間質細胞の細胞質に存在するカルパインが低酸素状態で活性化され、子宮内膜のテーリンとフォドリンを分解し細胞機能障害に関与することが示唆された。
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