末梢血単核球におけるWild typeを含む選択的splicingによる各種ERmRNAの発現をエストロゲン内分泌環境の異なる月経群、閉経群、HRT群、妊娠群について検討した。その結果末梢血単核球においてはWtERαmRNAが極めて有意に発現しており固体の置かれているエストロゲン内分泌環境をきわめて鋭敏に反映した発現量を示していることが明らかとなった。また閉経後に低下したWtERαmRNAはHRTによりその反応性を閉経前の状態にまで回復させることが可能であり、6ヶ月のHRTにてその効果はWtERαmRNAの発現量の検討からは定常状態に至っていることが確認された。末梢血単核球においてニストロゲンに対する反応性を閉経後のHRTが回復させている効果が確認出来た。HRT使用薬剤として要求されるのはERαの誘導作用の強い薬剤であり、またERαに親和性の高い薬剤が末梢血単核球を介したHRTの効果をより期待しうると考えられる。いっぽうエストロゲン依存性の強い子宮筋層、子宮内膜、脂肪組織などでのΔERmRNAの発現と比較すると、末梢血単核球はきわめてWtERmRNA以外の発現が小さく、WtERを同時に発現している細胞としはきわめて特異的な発現様式を示していることが明らかとなった。またエストロゲン依存性組織においては加齢に伴う変化とりわけ閉経前後においてWtERの変化を補完するような発現量の変化を認めるが、末梢血単核球においてはそのような変化は認められず、この点からもきわめて鋭敏なエストロゲン反応性をもつ細胞ということは出来るが、エストロゲン依存性の強い細胞とは考えにくい。閉経後の低エストロゲン状態にあってはその状態に適応した機能を発揮していると考えられるが、そこにはΔ4、Δ7ER4mRNA発現量の変化に認められるようにagingに伴う変化を生じている可能性があり、これが今後加齢と末梢血単核球の機能変化を検討して上でparameterとなりうる可能性があると考えられる。
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