8週齢(若年群)と6〜8ヵ月齢(高齢群)のFl雌マウスに対して、pregnant mare serumgonadotropin(PMS)とhuman chorionic gonadotropin(hCG)にて過排卵誘発を施行し、hCG投与約15時間後に、卵管より排卵卵を回収した。若年群の卵を5μg/mlのcytochalasineB添加培養液にて約15分培養した後に、マイクロマニピュレーターを用いて第一極体とその直下にある第二減数分裂中期にある染色体とを吸引し抜核することを試みた。最初の予備実験2回では直接透明帯を穿刺したが、穿刺の際にどうしても卵膜に針先端が触れ、計24個の卵に施行するも全て卵膜が崩壊した。そこで次の予備実験2回では透明帯開窓術の手技を用いて、引ききりの針でまず透明帯を穿刺して穴をあけ、そのうえで先端が平坦な針にて第一極体と第二減数分裂中期にある染色体を吸い出すことを試みた。計20個の卵に試みるも、18個の卵は開窓の際に破壊され、2個の卵は吸引によりほとんどの細胞質が吸い出されてしまい、この方法も不良と判断した。そこでマイクロマニピュレーターをもう1つ追加し、2つの穿刺針で透明帯を摘み、その状態でピエゾマニピュレーターにて1つの穿刺針で透明帯を穿刺し、先端が囲卵腔に入るやいなや培養液を少量注入して囲卵腔を拡張し、その上でその穿刺針をさらに刺入した。この穿刺針で第一極体と染色体を吸い出した。計4回47個の卵に施行し、42個の卵で抜核に成功した。次に同様な手技で抜き取った極体を抜核卵に注入したが、20個の卵に施行して全て卵膜が破れ、穿刺針が太すぎることが判明した。そこで予備実験6回にて4種類の太さの穿刺針を比較し、約10μmの針で計42個の卵のうち16個で極体注入に成功した。しかしながら、受精には成功せず、依然として技術的な改良と習熟が必要と考えられた。ここまでの検討で本年度の期間が尽きたため、最終年度にさらに改良・習熟し、受精・胚発育を達成してそれを比較検討することとした。
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